2008年1月21日月曜日

New Orleans

(シドニーベシェ著「Treat it gentle」、第3章「私の父」より。)

私の叔父は、歌がとてもうまかった。

あるとき、叔父は仕事の帰りがけにオペラハウスの前を通りかかった。叔父は立ち止まり、オペラを聴きながら、いきなりメインのパートを大声で歌いだした。

多くの人が彼の歌声を聴き、オペラハウスの中にまで聴こえてしまった。そして警官が来て、叔父は捕まった。

叔父は警察署で罰金を支払い一晩留置所に入れられる、とのことだった。

だが、警官も音楽好きだったのだろう。オペラのこともよく知っていた。彼は叔父にひとしきりオペラを歌わせると大いに満足し、そのまま叔父を釈放した。罰金も取らずに。

ニューオリンズとは、そんな街だった。