2008年3月30日日曜日

Promenade aux Champs-Elysées

1951年の春、パリにて若きCluade Luterのバンドと録音したこのベシェの曲は、陽気なパリジャンが春の暖かなシャンゼリゼ通りを行き交う姿が目に浮かぶような明るい旋律ながら、同時にシャンソンのように何処か寂しげで心に残る旋律をあわせ持つ、思わず口ずさみたくなるような逸品。

先週のある暖かな晩、職場に山積みされた仕事を文字通りすべて放り出して仲間と夜桜を見に出かけた。ここ一ヶ月ほど、毎晩深夜まで終わりがない仕事に追われていたので、平日のそんな時間に外に出るのは久しぶりの事だった。気がつけば冬は終わっていて、春の優しい風が心地よく吹く中、七分咲きの桜が夜空によく映えていた。

持参したバーベキュー焜炉の炭火を囲み、焼き肉を摘まみつつ麦酒を片手に公園の桜の下でわいわい騒ぐ。傍から見れば何とない光景だろうが、普段もっともそうな顔をして遅くまで一緒に頑張っている職場の仲間とのそんな「オフ」の時間は、とても貴重で楽しい。

昨年の今頃、僕はアメリカ北部特有の乾いた粉雪が時折降り続ける中、いつまで経っても来ない春と着実に近づいてくる期末試験、それにあわせてやってくる友人らとの別れや新たな生活へのチャレンジなど、いろいろなものに迫られながら毎日頑張っていた。そして、その時も多くの仲間に囲まれていた。

日々の生活の充実は、周りの仲間にどれだけ恵まれているかに左右される部分がとても大きいように思う。そう思えるだけの仲間に、これからも恵まれ続けていきたい。

フランスに渡ったベシェを取り囲んだClaude Luterを始めとする若き仲間たち。世代が離れながらも音楽という共通項で繋がった彼らとの時間は、ベシェにとってどのようなものだったのだろうか。Promenade aux Champs-Elyséesを聴いていると、なんとなくそれが少しだけ分かるような気がしてくる。